孤独死発見後の対応は? 原状回復や遺品整理業者選びのポイントをチェック!

孤独死を発見した場合、自分はどうすればいいのか……発見後の対応で悩んでいる方は多いでしょう。最近は、孤独死が社会問題にもなっており、対応の仕方をきちんと把握しておかなければなりません。

また、孤独死発見後は原状回復や遺品整理など遺族がやらなければならないこともたくさんあります。

そこで、本記事では、孤独死発見後の対応などについて詳しく説明しましょう。

  1. 孤独死が発見される経緯
  2. 孤独死発見後の対応は?
  3. 孤独死現場の原状回復について
  4. 特殊清掃・遺品整理業者を選ぶポイント
  5. 孤独死発見後の対応に関してよくある質問

この記事を読むことで、孤独死現場の原状回復や遺品整理業者を選ぶポイントなども分かります。気になっている方はぜひ参考にしてください。

1.孤独死が発見される経緯

最初に、孤独死が発見される経緯をチェックしておきましょう。

1-1.社会問題になりつつある孤独死

まずは、孤独死について説明したいと思います。孤独死とは、社会から孤立した結果、死後長時間放置されるような状態のことです。近年は、少子高齢化・単身者が増えているため、孤独死の件数も年々増加しています。特に、女性よりも男性の孤独死が深刻化になりつつあるようです。男性は女性よりも家事に苦手意識を持っている方が多く、配偶者との離婚や死別などで1人暮らしを始めた結果、栄養状態や衛生管理がおろそかになってしまいます。孤独死が増えてきている今、発見される経緯もさまざまです。

1-2.近所の人からの連絡で発見するケースが多い

連絡が取れなくなった親族が部屋を訪れた際に孤独死を見つけるケースもありますが、特に多いのが、近所の人からの連絡によって発見されるケースです。遺体は経過すればするほど腐敗していき、悪臭が近辺へ漂うことになります。最初は部屋中に臭いが立ち込めますが、次第に近所へ漂い始めるようになるのです。近所の人から管理会社や大家さんなどへ通報があり、部屋を確認したら住人が死亡していたというケースが増えています。

2.孤独死発見後の対応は?

ここでは、孤独死発見後の対応について解説します。

2-1.亡くなっているか判明しないときは救急車を呼ぶ

孤独死だと思われる状態でも、亡くなっているかどうか自分で判断できないケースがあるでしょう。自分で死亡しているか確かめようとする方が多いと思いますが、そこで体に触れてしまうのはよくありません。事件性がある場合、犯人の指紋が消えてしまう恐れがあるからです。また、自分の指紋がついてしまうと犯人だと疑われる可能性もあるので注意してください。亡くなっているか自分で判断できないときは、すぐに救急車を呼びましょう。それまでは、遺体だけでなく部屋にあるものすべてに触れてはいけません。そして、救急車が到着したら救急隊員が生死を確認します。生きていることが確認できれば、すぐに病院へ搬送されることになるでしょう。

2-2.明らかに亡くなっているときは警察へ連絡する

遺体が腐敗しているなど死後がハッキリと判明する際は、すぐに警察へ連絡しましょう。警察へ連絡するのは、自然死なのか事件性があるのか確認するためです。自然死だと思える状態でも、事件性があるケースもあります。それは素人では判断しづらいところでもあるため、警察に連絡し調べてもらわなければなりません。通報を受けた警察は遺体の検案を行い、事件性があるか、自然死なのか判断します。

2-3.遺族・保証人へ連絡する

孤独死を見つけたのが管理会社や大家さんの場合は、遺族と保証人に連絡をしなければなりません。警察の検視によって身元が判明したら、すぐに死体検案書と死体を遺族に渡すことができるでしょう。すぐに身元が分からないときはDNA鑑定をする必要があります。DNA鑑定に時間がかかる恐れもあるため、遺体は遺族に渡すのではなく、専用の保管庫にて保管することになるでしょう。孤独死は親族が見つからないケースが多いため、連絡がつかない場合は「行旅病人扱行旅死亡人取扱法」という法律によって自治体が火葬することになります。

3.孤独死現場の原状回復について

ここでは、孤独死現場の原状回復について解説しましょう。

3-1.原状回復の費用は本人・保証人が支払わなければならない

孤独死現場の原状回復に関して、最も気になるポイントは「誰が費用を支払うか」でしょう。そもそも、原状回復とは、アパートやマンションなどの賃貸借契約が終了して待機する際に、入居時の状態に戻すことです。基本的に、原状回復の義務はその部屋を借りている本人が担うことになります。ただし、孤独死ではその本人が死亡しているので代わりに保証人が原状回復の費用を支払わなければなりません。保証人や遺族に連絡が取れない場合は、保証会社・保険会社→大家さん・業者という順で原状回復の義務を担うことになります。

3-2.孤独死が起きた際の原状回復費用

ケースによって、孤独死が起きた際の原状回復費用は大きく異なります。あくまで目安となりますが、孤独死が起きた場合の原状回復費用は平均で39万円かかるでしょう。遺体の発見が遅くなるほど腐敗臭が漂い、部屋の中がひどく汚れてしまうので費用が割高になってしまいます。

3-3.遺族が注意しておきたいこと

孤独死発見後の原状回復を遺族が請け負う場合、孤独死のケースによっては、管理会社や大家さんから損害賠償を請求される恐れもあるので注意しなければなりません。たとえば、入居者本人が自殺で亡くなった場合、家賃の値下げについての損害を請求される可能性があるでしょう。管理会社や大家さんの立場からすると、事故物件扱いになるため、次に入居する人が見つかりにくくなるからです。ただし、突然死や自然死の場合は値下げの要求はできません。亡くなった本人が意図的に行ったかどうかがポイントとなります。

3-4.遺品整理・特殊清掃・ハウスクリーニング

原状回復の大まかな流れは、遺品整理→特殊清掃→ハウスクリーニングとなります。それぞれの特徴は以下のとおりです。

  1. 遺品整理:形見の品などの仕分け・通常の清掃
  2. 特殊清掃:凄惨な現場での清掃
  3. ハウスクリーニング:消臭工事など本格的な清掃

上記の内容は原状回復の際に行わなければなりません。前述したように、原状回復は元の部屋の状態に戻すことが目的ですので、入居時の状態になるようきれいに片付ける必要があります。通常の原状回復は遺品整理とハウスクリーニングが一般的ですが、孤独死の場合は特殊清掃が追加されるケースがほとんどですね。また、遺族に原状回復義務があるケースでは、作業が遅れてしまうと家賃が発生することになるため、スピーディーに進めなければならないでしょう。

4.特殊清掃・遺品整理業者を選ぶポイント

ここでは、特殊清掃・遺品整理業者を選ぶポイントについて解説します。

4-1.遺品整理や特殊清掃の実績があるか

専門業者に依頼する場合は、まず遺品整理や特殊清掃の実績があるかチェックしてください。実績を調べる方法としては、ホームページで「お客様の声」や「事例」などを確認するといいでしょう。さまざまなケースを経験している業者ほど、どのようなケースでも迅速な対応が可能です。特に、遺品整理だけでなく特殊清掃といった孤独死ならではのサービスに実績を持っている業者なら、特殊な現場でも対応してもらうことができるでしょう。実績のある専門業者は依頼者の要望に耳を傾けながらも、最適・最安プランを提案します。

4-2.サービス内容が充実しているか

遺品整理や特殊清掃だけでなく、不用品の買取・遺品の供養・ハウスクリーニングなどさまざまサービスを行っているかにもチェックしてもらいたいポイントとなります。業者の中には、遺品整理だけしか行っていないところもあるため、依頼前に必ず確認しましょう。なるべくサービス内容が充実している業者に依頼したほうが、そのときの状況に合わせて必要なサービスが利用できます。また、遺品整理を依頼する際はどこからどこまで作業してくれるのか、内容も必ず確認してください。悪質な業者の場合、遺品の片付けのみの作業だったり、不用品の回収はオプションサービスになったりするケースがあります。後でトラブルにならないためにも事前の確認が大切です。

4-3.料金体系が明確になっているか

業者を選ぶ際は、料金体系が明確になっているかも要チェックポイントとなります。最初に、無料見積もりを依頼することになりますが、見積書にはどのような作業にいくらかかるのか詳細が記載されているものです。けれども、悪質な業者は見積書に具体的な数字を記載せず、作業後に追加費用を請求するケースがあります。料金体系もハッキリとしておらず、どの作業にいくらかかるのか教えてくれません。料金体系がハッキリしているか・尋ねたら分かりやすく説明してくれるか、必ず費用はチェックしましょう。

4-4.スタッフの対応が丁寧でスピーディーか

スタッフの対応が丁寧でスピーディーかどうかも、業者選びの重要なポイントです。スタッフの対応は悪質な業者を見極めやすい部分ともいえるでしょう。たとえば、不正を働く悪徳業者の場合、スタッフの対応が悪く返事も遅い傾向があります。質問をしても答えをはぐらかしたり、適当な回答をしたりするなどまったく信用できません。けれども、優良業者はどのような質問でも分かりやすくしっかりと説明してくれます。遺品整理はとてもナイーブな作業ですので、信用に値する業者を選ぶ必要があるのです。

5.孤独死発見後の対応に関してよくある質問

孤独死発見後の対応に関する質問を5つピックアップしてみました。

Q.孤独死を発見した際にやってはいけないことは?
A.慌てて遺体に触ったり、部屋を物色したりすることです。先ほど説明したように、孤独死だと分かる状況下であったとしても、それはあくまで個人の見解となります。孤独死と思っていたことが事件性があると分かったり、自殺をしていたりするケースもあるため、まずは迅速に救急車・警察へ連絡することが大切です。孤独死を見つけるとパニックになりやすいので、冷静に対処する必要があります。

Q.遺族が警察からの連絡後にやるべきことは?
A.突然の連絡でパニックになりがちですが、遺体を引き取った後はすぐに葬儀を執り行う必要があるので葬儀社を決めなければなりません。どのような葬儀を執り行うかだけでなく、葬儀社によって費用・内容が異なります。故人の意思を尊重しながらもしっかりと確認してから決めてください。また、葬儀を終わらせた後は、なるべく早めに遺品整理を行わなければなりません。

Q.特殊清掃とは?
A.遺体が腐敗する際に発生する腐敗臭や血液といった体液などで汚れている部屋を、特別な作業できれいにすることです。これらの汚れは普通の清掃レベルでは、なかなか取り除くことができません。そのため、特殊な洗剤や専用機器を使いながら清掃することになります。

Q.孤独死があった現場の遺品はどうなるのか?
A.ほとんどは処分しなければならなくなるでしょう。孤独死の現場状況にもよりますが、およそ8割の遺品に痛いの腐敗臭が染み付いている可能性が高いからです。たとえ、形見になるものであったとしても発見が遅れるほどに捨てざるを得なくなってしまう可能性があります。また、遺品の中には買い取ってもらえるものもありますが、孤独死の場合は買取不可になるケースがほとんどです。

Q.遺品整理士とは?
A.遺品の扱い方や適切な処分方法など、遺品整理に関する必要な知識を持っている人のことを遺品整理士といいます。遺品整理士になるためには、一般社団法人遺品整理士認定協会が行っている通信講座を2か月間受講しなければなりません。有資格者は遺品の扱い方に長けているため、安心して遺品整理を任せることができるでしょう。

まとめ

孤独死発見後はパニックになりがちなので、まずは冷静になることが大切です。そして、遺体には触らずに亡くなっているか確認するため、救急車を呼びましょう。事件などの可能性がある場合は、警察にも連絡しなければなりません。発見者が大家さんであれば、保証人や家族にも連絡をする必要があります。孤独死発見後はやるべきことがたくさんあるので、きちんと順序を把握しておくことが大切です。また、遺品整理をする際は、専門業者に依頼したほうがスピーディーに終わらせることができるでしょう。