
防げ! 押し買い被害の実例や対策・法律・クーリングオフ等をご紹介
最近では、不用品回収に関するトラブルが増えてきています。その中でも「押し買い」という悪徳商法をご存じでしょうか? 最近では押し買いの被害が増えてきており年間約4000件もの相談件数が出た年もあるほどです。押し買い被害について知りたい方や予防・対策をしたい方のために、押し買いの基礎知識や対応策をまとめましたので、ぜひご参照ください。
押し買いの対応策を知っておくことで被害を防げる可能性があがります。あなたの財産やあなたの家族・周囲の人の財産を守るためにも、押し買いについて知識をつけてください。自分だけは大丈夫と思っている方こそ危険なこともあるのです。
1.押し買いって何?
1-1.押し買いの定義について
押し買いとは押し売りの逆で、無理やり商品を買い取っていってしまう悪徳商法のことです。「不用品ありませんか?」などと言って家に押しかけ、脅したり怖がらせたりして貴金属類を大変な安価で強引に買い取っていってしまいます。”納得していない額”でというのがポイントです。
1-2.押し買いの被害者層について
押し買いの被害者は、圧倒的に高齢者が多いのです。ひとり暮らし・認知症のご高齢の方などは特に注意が必要になります。押し買い業者は泣き寝入りしそうな人をねらっているのです。
1-3.ねらわれやすい商品は?
押し買いは金目の物ならなんでもねらってきます。特に、以下には注意が必要です。
- 貴金属
- 宝飾品/アクセサリー(指輪・ネックレス・ブレスレット・イヤリングなど)
- 時計
- 金貨
- 古銭
- 着物
- ブランド品(バッグ・小物など)
玄関先で、家主がつけている指輪に目をつけて無理やり買い取っていってしまうこともあるそうです。
1-4.押し買いの現状について
押し買いの被害件数は年々増えてきているのです。金の価格高騰を背景に、2012年は2011年の1.7倍である4400件もの相談件数となっています。
2.押し買いは犯罪行為か?
2-1.押し買いは法律で裁けるか?
これだけの被害が出ていたにもかかわらず、これまで押し買いに対応する法律はありませんでした。押し買いは訪問販売に該当せずクーリングオフの適用も難しかったのです。しかし、被害件数が急増したため、2013年に は特定商取引法が改正されました。押し買いにもクーリングオフが適用されるようになったのです。もし、業者が商品を転売してしまった後でも、転売先から返品請求できるようになりました。ただし、自分で業者を呼んだ場合や、自分で金額を決めた場合にはクーリングオフは適用できません。「業者を呼びました」「自分で金額を決めました」と言った旨を契約書に書いておき、気づかず、もしくは無理やりサインさせられる被害もあるので、油断は禁物です。
2-2.法規制について
クーリングオフ制度によって、契約から8日以内なら契約を解除できることになりましたが、以下の品目は規制の対象外となります。
- 大型家電
- 家具
- 有価証券
- 書籍・CD類
- 自動車
大型家電や家具は、運搬が大変なため悪徳業者も取り扱いにくいであろうという理由からです。有価証券は、規制の対象とすると流通に大きな影響が出るため除外されています。
書籍・CD類は基本的に何十冊・何百冊とまとめて売却されることが多く、後で「1冊だけ返して」となると手続きが煩雑になってしまうのが理由です。自動車については、年間1,600件もの被害が出ており、このうち2割が押し買いに関するものとされています。にもかかわらず、自動車が規制の対象外となっていることに対する疑問の声もあがっているのです。まだ法規制も完ぺきではないのかもしれません。
2-3.押し売りの被害にあったら?
押し売りの被害にあってしまったら、まずは家族・消費者センター・警察・弁護士などに相談しましょう。日数がたっていなければクーリングオフや転売阻止をほどこせる可能性が高いです。押し売り業者に「面倒な客だ」と思わせることが大切ですので、弁護士や警察も積極的に使っていきましょう。
2-4.相談窓口
消費者センターは「押し買い」の専用ページを設けています。消費者ホットライン:188も利用可能です。電話がつながると音声ガイダンスが始まり、郵便番号などの入力(プッシュ)を求められ、お住まいの地域の消費センターにつながります。
3.押し買い被害の実例について
3-1.危険な状況について
「リサイクルショップを開店したので不用品を集めています」などと突然電話がかかってきたり、訪問があったりした時は要注意です。また、ひとり暮らしの方や家族の不在時間が長いといった方も注意が必要になります。
3-2.悪徳業者の押し買いの方法
悪徳業者は信じられないほど強引な手段で押し買いをしてくることもあります。実例をいくつかご紹介しますので、このような事態にならないように予防策を講じましょう。
3-2-1.裏口から入ってくる
地方の家では、玄関の裏口や勝手口のカギを開けていることが多く、家の中に勝手に入ってきてしまうこともあります。不法侵入は犯罪ですが、怖くて早く帰ってほしい一心で業者の言うままに宝石類を安く買い取られてしまったという被害も出ているのです。
3-2-2.大声・強い口調で脅す
ご高齢の方や女性のひとり暮らしの方にとって、男性が複数人で押しかけてきて大きな声で脅されてしまうと、到底納得できる金額でなくてもサインをしてしまうこともあるそうです。
3-2-3.わけもわからずサインをさせられる
認知症の方をねらって、契約書にサインさせる大変悪質な業者もあります。クーリングオフを使えなくするような契約内容もあるので注意が必要です。認知症患者がおこなったサイン・契約などを無効にできる法規制もありますが、まずは被害にあわないようにご家族の方がしっかりと予防策を立てましょう。
4.押し買い被害の予防策・対策について
4-1.押し売り対策としてできること
前述のとおり、押し買い被害の増加によりによる法改正のポイントとそれによりできるようになったことをまとめました。
不招請勧誘の禁止
消費者の依頼なしに業者が買い取り業務をおこなうことはできません。悪徳業者を消費者へ近づけない策として有効です。
クーリングオフの適用
契約より8日以内なら解約することができます。
書面の交付義務
業者には、書面に買い取り価格などを明記する義務があるため、消費者は業者に書面を求めることができます。
4-2.対策と予防策
押し買いを予防するための対策をご紹介します。
4-2-1.呼んでいない人を家に入れない
押し買い業者を近づけないことがなにより大切です。勝手に住居に押し入った際は不法侵入になりますので、すぐに警察を呼ぶか、呼ぶ素振りを見せましょう。また、意図的に居留守を使うのも手です。ただし、居留守は強盗などの被害の危険性もゼロではありませんので、わざと物音を立てて「家にはいるけど意図的に出ない」といったアピールをする方法もあります。
4-2-2.貴重品を持たない・持たせない
普段から貴金属類を身に着けている人はねらわれやすくなります。また、認知症・ご高齢で一人ぐらしをしている方には、家族の方がアドバイスをしてあげて、なるべく貴金属類を家に持たせないようにしましょう。しかし、唯一持たせていた宝飾品を押し買いされてしまったという被害もありますので、所持数が少ないからと言って安全とは言えません。すぐには見えないところにしまっておく・カギをかけるなどの策を講じてください。
4-2-3.成年後見制度を使う
認知症などで判断能力が衰えた高齢者の代わりに、家族が財産等を管理する権利を得ることができます。たとえば、認知症の方がクレジットカードを使い散財してしまうような事態を防いだり、内容を知らずにサインしてしまった契約を無効にしたりすることが可能です。
4-2-4.不用品を持たない
売りたい・売ってもいいかもと思う貴重品・不用品があると気持ちが揺らいでしまい、押し買い業者に問い詰められた時にきっぱりと断れなくなってしまいます。不用品が本当にないのなら、「ない!」と言い切れるはずなのです。今のうちに不用品を適切な価格で売ったり処分しておいたりするのも、押し買い被害にあわない方法の一つでしょう。お家がスッキリするというおまけもついてきます。
4-3.注意点
「自分は大丈夫」と思った方ほど要注意です。押し買い業者はあの手この手で買い取りを迫ってきます。今回ご紹介した方法以外にも、新たなあくどい手口をどんどん考えているかもしれません。突然インターホンがなった時に、冷静に対応できる人は少ないですので、家にあげないことをベースにさまざまな対策をシミュレーションしておきましょう。
4-4.信頼できる業者の見分け方
不用品を処分したい・買い取りに出したい場合には、自分できちんとした業者を選ぶことが鉄則です。突然、訪問してくる業者は100%信用しないでください。業者の見分け方としては以下のポイントがあります。
- 訪問・電話などでセールスをしてこないこと
- 料金体系が明確でありサービス内容とあっていること
- 見積料金等は書面での提示があること
- 古物商許可などの資格を持っていること
5.押し買い被害についてよくある質問
5-1.押し買いの特徴とは?
リサイクル業者・NPO法人・福祉団体などを名乗ることが多いです。身に覚えのない他人の話は一切聞かないようにしましょう。
5-2.高齢者の周囲の人ができることは?
押し買いについての注意喚起を促す、貴金属・印鑑などを持たせないなどの方法があります。ご近所付き合いも重要ですので、なるべく挨拶(あいさつ)・世間話をするなどしてコミュニケーションをはかりましょう。
5-3.万が一押し買いを迫られたら?
ひとりでは判断できないので人を呼びますなどと言って第三者を呼ぶのがおすすめです。呼ぶ素振りをするだけで引き下がるケースもあります。できれば、業者の対応を撮影する(ふりをする)のも手です。
5-4.押し買いくらいで警察を呼んでもいいの?
日本の警察には、生命・身体・財産の安全を守る義務があるので、自分の持ち物を不法に買い取られそうになった場合には警察を呼ぶことができます。
5-5.押し買い業者を寄せ付けない方法は?
押し買い業者をはじめとした悪徳業者は、泣き寝入りしそうな弱い人をねらいます。その後の面倒が少ないからです。一方、契約内容の確認をしつこく求めたり、第三者をまきこもうとしたりするような人は業者に面倒がられて退散する可能性もあります。気が弱い人が強気に出るのは難しいと思いますので、”面倒くさそうな人物”になりきると業者が逃げていくでしょう。玄関に男物の靴を置いておくのもおすすめです。
6.まとめ
いかがでしたでしょうか。押し買いの実態や被害・対策などについてご紹介しました。押し買いから消費者を守る法律もありますが、まずは自分で自分の身と財産を守りましょう。自分は大丈夫という油断は思わぬ被害を招きますので、普段から身を引きしめてください。