
大切な服に虫食いが・・・。がっかりしないための賢い対策と防止方法
衣替えの季節です。衣替えしようと服を取り出したら、「あっ、虫食いが・・・」と、がっかりした経験はありませんか?原因はいうまでもなく虫が服を食べるからですが、遠因をたどれば、あなたの保管方法が悪かったからです。衣類を虫食いから守る方法を紹介します。
1.衣類を蝕(むしば)む虫と虫食いの原因
衣類の虫食いの被害は、住まいの気密性の向上や温暖化の影響があるといわれています。近年、虫食い被害は、増える傾向にあるようです。虫の活動が活発化するのは、春先から。予防が重要です。
1-1.代表的な虫は4種類
服を食べる虫は、以下の4種類が代表的です。
- ヒメカツオブシムシ
- ヒメ マルカツオブシムシ
- イガ
- コイガ
いずれも成虫で5mmくらいの小さな虫です。これらの虫が服を食べるのは、幼虫のときだけ。成虫になると、食べることはありません。でも、産卵するので、次にまた虫食いの被害に遭ってしまいます。とてもやっかいですね。虫たちは、服を食べることと産卵を繰り返しながら世代を重ね、今日まで生きながらえてきました。
1-2.虫食い被害の原因
虫食いの原因はズバリ、服を保管する場所に虫がいるからです。保管状況が悪いと、虫が入り込み、産卵して虫食い被害に遭うことに。しかも、皮脂や汚れが衣類に付着していると、虫食いに遭う危険性はさらに高まります。
特に虫たちが好むのは、動物性の繊維でできた製品です。カシミヤヤギの毛でできた高級繊維のカシミヤ、羊の毛でできたウール、蚕のまゆでつくるシルクなど。さらに、木綿の被害もあります。
化学繊維は、基本的には大丈夫です。でも、油脂や汚れがついていると、一緒に食べられる心配があります。化学繊維も、注意が必要です。
1-3.防虫剤の使い方に原因も
「防虫剤を使っていたのに・・・」
そんな思いをした方もいるでしょう。原因は、正しく使用していなかったことが考えられます。たとえば、密閉性のある場所で使っていなかったりした場合です。あるいは、ギューギューに詰め込むと、防虫剤の効果は薄れてしまいます。
単に防虫剤を入れるだけでは、虫食いから守ることはできません。正しく使用することが大切です。
2.害虫が発生しやすい環境
害虫が発生しやすい環境は、大きく3つの点があげられるでしょう。害虫が発生しないような環境にすることで、虫食い被害を防ぐことができるはずです。
2-1.虫が入り込む環境にある
当然ですが、虫が入り込む環境にあるから、虫が浸入してきて被害に遭います。ですから、密閉性を高めることが大切です。防虫剤の効果を逃がさないためにも、できるだけ密閉しておきましょう。クローゼットなどに入れる場合は、一度、中を空にして清掃することをおすすめします。
2-2.湿度が高い環境にある
虫たちは、湿気のある場所を好みます。天気が良い日には、クローゼットなどを開けて、中の空気を入れ替え、湿気対策をするといいでしょう。
2-3.防虫剤の効果がなくなった
一般的な防虫剤は、半年程度で効果がなくなるといわれています。使用期限が切れた防虫剤を使い続けていませんか?半年に1回は、新しい防虫剤に取り換えてください。
3.虫食いから衣類を守る方法
それでは、どのようにすれば、虫食いの被害から衣類を守ることができるのでしょうか。防虫対策では、クリーニング店に出して防虫加工を依頼することもできますが、ここでは、ご家庭でできる方法をご紹介します。
3-1.家庭でできる防止法
- 収納前に洗濯:虫食いを防ぐには、収納する前のケアが大切です。収納するときは、必ず洗濯を済ませて、汚れをしっかり落としてからにしましょう。
- 天気のいい日にしっかり乾燥:害虫は湿気を好みます。晴れて湿度が低い日に干して、しっかり乾燥してください。部屋の中に干す場合は、風通りがいい場所にしてください。
- アイロンをかける:選択したあとにアイロンをかけると、害虫や卵が残っていても、アイロンの熱で死滅します。洗えない衣類の場合にも効果的です。ドライクリーニングにすればさらに効果が高まるので、気になる場合は、クリーニングに出しましょう。
- 衣類は詰め込み過ぎない:市販されている防虫剤は、密閉しガス化させることで、衣類を食べる害虫から虫食いを防止します。詰め込み過ぎると、本来の効果が発揮できません。開閉する機会が多いと、ガスの濃度が薄まるので、できるだけ密閉するようにしましょう。衣類に合った圧縮袋に入れ、密封して収納すると、より効果的です。
- 防虫剤は上に置く:ガス化した防虫剤の気体は、空気より重くなります。ですから、防虫剤は衣類より上に置くのが鉄則です。でないと、効果は薄まってしまいます。
- 衣類は縦に収納する:仮に衣類に付着した害虫は、光を避けて下の方に移動するといわれています。積み重ねて収納すると、すべての衣類が虫食いに遭う可能性があります。縦に収納すれば、虫食いのリスクは少なくなるだけでなく、入っている衣類が見やすくなり、取り出すときにも便利です。
3-2.市販されている防止剤
一般的に販売されている防虫剤は、およそ4種類。説明書を読めば、使い方は見分けられます。
- パラジクロルベンゼン:防虫剤のうち、一番早く効き目が広がります。ウールなど虫のつきやすい衣類に適した防虫剤です。
- ナフタリン:効き目がゆっくりと持続するのが特徴です。出し入れの少ない衣類の虫対策に適しています。
- しょうのう:古くから使われている防虫剤です。ほとんどの衣類、特に着物の保管に適しています。
- ピレスロイド系:防虫剤特有の臭いがしないのが特徴です。ほかの防虫剤と併用することもできます。
3-3.市販の防虫剤の注意点
高温(50℃以上)になると、ガスではなく液体になって衣服にシミをつける場合があります。また、複数の防虫剤を併用した場合も同様です。防虫剤にはそれぞれに特徴や注意点があります。また、併用ができない防虫剤も。説明書をよく読んで使用しましょう。
4.虫食い被害の修理方法
虫食い被害に遭った衣類でも、あきらめることはありません。修理することで、再び着ることは可能です。スーツを例に修理方法を紹介しましょう。
4-1.応急の修理法
- かがり縫い:穴が小さい場合に有効です。布の裏から表へ針を出し、布の端を巻くように縫っていきます。
- 補修布:補修布で穴をふさぐと、穴が目立たなくなります。補修布は、手芸店や100円ショップで購入してください。穴の裏側から補修布をあてて、アイロンをかけるだけで、簡単に補修が可能です。自信がなければ、やってくれるクリーニング店もあるので、探してみたらいかがでしょうか。
- 便利アイテム:補修布以外にも、簡単にできるアイテムがあります。接着ジェルや接着パウダーなどです。いずれも、アイロンをかけるだけで補修できるので、裁縫が苦手な方におすすめします。
4-2.本格修理なら専門店
本格的な修理をするなら、専門店が一番。小さな穴であれば、5,000円程度でやってくれるようです。「かけはぎ(かけつぎ)」という特殊な技術で修復してくれます。
5.まとめ
衣類を虫食いから守る方法を中心に、虫食いに遭った場合の補修方法を紹介しました。
要点を整理すると、虫食いを防ぐには、収納する前のケアが大切です。きれいに洗って油脂や汚れを落としましょう。防虫剤には、それぞれ特徴があります。正しく使用してください。
修理方法は、ご家庭でできる方法を紹介しました。不幸にも虫食いに遭ったら、ぜひ試してみてください。
普段から意識して防虫対策をすれば、大切な衣類を虫からきっと守ってくれるはずです。